Q177:道路橋定期点検要領 改訂(2019年3月)
前項で橋梁点検ドローンをご紹介させて頂きましたが、2019年3月からドローンで撮影した映像も道路橋定期点検の項目として認められるようになりました。
それまでは、人の目視で点検する事が条件でしたが、今年の3月に点検要領が改訂され、点検や診断がドローンやロボットでも可能となったのです。
ここまで行きつくには、様々な実証実験など橋梁点検での取組・データ取得などエビデンスを残し、議論を踏まえ提案し続けた結果が、改訂につながったのだと思います。
これで、更にドローンの活用範囲が広がりました。
来年からは、ドローンやロボットの有効活用が認められ、インフラ点検も実証実験フェーズから実用化へとフェーズが移って行くのでしょう。
2019年3月に改訂されました資料を添付します。
今後、ドローンで道路橋点検を検討される方はご参照下さい。
点検要領(技術的助言)
道路橋定期点検要領 平成31年2月PDF形式を添付します。国交省HPより
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/yobo4_1.pdf
ポイントは、P2~P3です。
「近接目視」から「自らの近接目視によるときと同等の健全性の診断を行う事ができる情報が得られる」となった事で、ドローンを活用する事が出来るのです。
4.状態の把握 健全性の診断の根拠となる状態の把握は、近接目視により行うことを基本 とする。
【法令運用上の留意事項】
定期点検を行う者は、健全性の診断の根拠となる道路橋の現在の状態を、 近接目視により把握するか、または、自らの近接目視によるときと同等の健全性の診断を行うことができる情報が得られると判断した方法により把握しなければならない。 道路橋の健全性の診断を適切に行うために、法令では、定期点検を行う者が、道路橋の外観性状を十分に把握できる距離まで近接し、目視することが 基本とされている。これに限らず、道路橋の健全性の診断を適切に行うために、または、定期点検の目的に照らして必要があれば、打音や触診等の手段 2 を併用することが求められる。 一方で、健全性の診断のために必要とされる近接の程度や打音や触診など のその他の方法を併用する必要性については,構造物の特性、周辺部材の状 態、想定される変状の要因や現象、環境条件、周辺条件などによっても異なる。したがって、一概にこれを定めることはできず、定期点検を行う者が橋 毎に判断することとなる。
その他、橋梁やトンネルの定期点検要領も平成26年の改訂から5年を経て
平成31年3月に改訂されています。
点検の方法や近接目視点検を代替えできそうな技術等についても
国土交通省HPにまとめて掲載されています。ご参照下さい
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/yobohozen.html
上記ページは、項目が沢山ある為、これから、ドローンで橋梁点検を考えられている方は、「橋梁定期点検要綱」「新技術利用のガイドライン(案)」「点検支援技術性能カタログ(案)」は、抜粋し添付します。ご参照下さい。
【国管理】定期点検要領等
橋梁定期点検要領 国土交通省 道路局 国道・技術課
2019年3月 改訂 PDF形式
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/yobo3_1_6.pdf
定期点検を行う際の参考資料
新技術利用の際のガイドライン(案) 平成31年2月PDF形式
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/yobo5_1.pdf
点検支援技術性能カタログ(案) 平成31年2月PDF形式
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/yobo5_2.pdf
尚、国土交通省では、2018年6月22日に開催した社会資本メンテナンス戦略小委員会における議論を踏まえ、インフラの老朽化に対し緊急的に取り組む施策(工程表)が掲載されています。2021年先までのロードマップが見れ、わかりやすいので、こちらもご参考に。
インフラメンテナンスの着実な実施に向け、緊急的に取り組む施策をとりまとめました!(国交省HPより)
https://www.mlit.go.jp/common/001248162.pdf
上記、下記ページより抜粋(国交省HPより)
インフラメンテナンスの着実な実施に向け緊急的に取り組む施策
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo03_hh_000197.html
Q176:デンソー 橋梁点検ドローン
等々、Made in Japan デンソーから、ドローンによる橋梁点検サービスが2919年10月29日開始されました!
https://www.denso.com/jp/ja/news/news-releases/2019/20191029-01/
日本のドローンメーカーとしては、ベンチャー企業が多いですが、大手企業がドローン開発に着手した事は、日本ドローンの未来が見え嬉しいです。2018年12月自律研ACSLが上場して1年になりますが、2020年はインフラ点検ドローンが活躍し始めるのでしょう。
先日も、デンソー機体を見て来ましたので報告します。
私が注目したい特徴は、デンソーは風にも強い可変ピッチを採用している所です。
可変ピッチは、プロペラの角度を可変させて上下推力を発生させ飛行が出来るので、橋梁下など風の乱流が発生しやすい場所での飛行は有効だと思います。
また、橋梁下からでのドローンによる撮影は、上向きジンバルを求められるのですが、やはりデンソー!三軸ジンバルを使用したカメラでの撮影は、撮影ポイントで的確に抑えられることが出来る。展示会では動作を見る事はできなかったのですが、まるでロボットアームみたいでした。
こちらの機体は、橋梁下の狭小部撮影用で、上部に360℃カメラが取り付けられています。橋梁下は、橋の種類によって、コンクリート橋であっても、水道管やケーブル・トラス状に鉄骨が配置されているなど、構造が様々なので、細い棒でトラスの間を通し、撮影されるのでしょう。
また、気になったのが、デンソーの機体開発パートナーのパネルです。
AileLinX/TOSHIBA/シナノケンシ/Envision AESC/FUTABA
ドローン機体開発・部品・バッテリー・送信機等
Made in Japan 総体制(^^)/。素敵すぎる。
長い時間見てても飽きない機体ですわ~♡
それ以外にも、ドローンで撮影するだけではなく、撮影後の画像処理・運用サポートなどもトータルでソリューション提案もされています。
橋梁点検も実証実験から実用化に向かっていく2020年!
インフラ点検は高度成長期から50年以上経過と、施設の劣化が進行していく中、更にスピードを上げて取組まなくてはいけない項目でもあります。
更なる活躍応援してます!
QC175:東洋製罐 スプレードローン
2カ月ぶりの投稿(><)/です
気持ちはブログ更新したかったのですが、ドローンを取巻く環境がもうスピードで進化し、仕事もそれについて行くのが精一杯、それでブログも後回しに・・・言い訳です。
既にドローンによる空撮ニーズは定着していますが、今年は産業用ドローンに注目が集まり、農業も水稲から果樹園ニーズへ、インフラ点検では橋梁点検や構造物点検へ、飛行操縦は完全自動航行へ、耐環境性では、雨天飛行も可能にしたいとIP55仕様など、ユーザーニーズは益々高くなり、様々な産業用ドローンが出現して来ました。
今回は、インフラ点検時の補修ドローンとして活用できそうなドローンが出現して来ましたのでご紹介させて頂きます。
東洋製罐株式会社と東洋エアゾール工業株式会社
FLYING-AEROSOL
https://www.flying-aerosol.com/
こちらの展示機体の本体は、MATRICEを使用し、下方部に噴射剤を搭載、カメラジンバルに噴射口を設置し、カメラの向きに合わせ、噴射するという構造でした。
ドローンに、エアゾール(スプレー缶)を搭載する事で、様々な箇所に液剤を噴射する事ができるドローンで、スプレー缶は、用途にあった製品販売や開発も可能だそうです。
東洋製罐㈱は、金属缶からPETボトルまで飲料容器で世界有数な企業で、日本初の自動製缶設備による製缶を開始した会社だそうです。
今後、ドローンを活用し、薬剤の充填やスプレー缶の発売につなげたいという事で、新規事業として取組んでいるとの事。
主な用途しては、防サビ剤補修剤・殺虫剤などのスプレー缶があり、スプレー缶の液剤を噴射させる機構も開発したりと、提携先にはこれらの開発情報も提供可能。
今後、インフラ点検や建物構造点検時の早期補修などでも活躍できそうですね。
私も体験して来たので動画投稿します。
まず、プロポでドローンから送られる画像伝送で標的を捉え、その後、噴射装置で発射!
これは面白い~(^0^)
この製品はとても可能性を秘めていると思います。
噴射剤を吐出する為、飛行申請は、物件投下・危険物にあたる為、国交省への飛行許可申請も必要になりますが、
人が行けない場所へドローンを飛行させ、噴射が必要な箇所を見つければ、その場で遠隔操作でマーキングや吐出など、ニーズは沢山あると思います。
足場の悪い箇所など、ドローンのメリットを上手く考えた開発です。
ドローンも痒いところに手が届くようなサービスが出来るようになっているんだなと、日本の物づくり、日本の会社を益々応援して行きたくなります。
Q174:YMR-08(ヤマハ)
等々、ヤマハYMR-08を飛行して来ました♬
ヤマハ発動機株式会社 YMR-08
操縦した感想は、離着陸の安定性が抜群!
脚の高さが低めで、着陸幅も広めに設計され、素材も硬くないので
着陸時の安定性、安全性、機体に与える振動抑制なども考えられ設計されてました。
着陸後は、モーターがキュンッって、直ぐ止まってくれるので、気持ち的に安心感があり、直ぐ気に入ってしまいました。
散布性能は、いうまでもなく、きれいに液剤も風に流されることもなく、 噴出されており、専用設計された2重反転ローター効果なのでしょう。
機体は、10L機でしたが機体本体だけだと軽かったです。
機体収納は、アーム箇所を横に折りたたむタイプの為、細長くなるデザインで、奥行きのある車が必要でした。
無人ヘリ(ヤマハRMAX)と並べて置くには、細長い機体を並べて置けるので、無人ヘリユーザーを考えて設計もしているのか知れませんね。
操作性は、まずプロポはFUTABAです。エンルートAC1500と同じプロポなので、スイッチは全て手前にするなど、エンルート仕様とは設定が違いますが、エンルート機を使用している方は、ヤマハYMR-08を操縦するには、違和感なく操縦ができると思います。
手動操縦(ノーマルモード)以外にも、ターンアシストやクルーズモードなど、飛行内容や操縦士技能レベルに合わせた3つの操縦モードが選べるので、操縦の疲労感は低減されて良いです。
特に、自動ターンアシストモードは、散布スイッチのオンオフ切替で一定間隔を保ったままターンと往復を繰り返してくれます。
1フライトで、1ha約15分の作業性です。
圃場のパターンにも合わせて、飛行モードを設定する事が可能です。
作業性は、取っ手付きのバッテリーの為、持ち運びは便利ですし、上から斜めにカチャンッと差し込むだけなので、脱着も直ぐ作業に入れるのでお勧めです。
安全性は、バッテリーマネジメントシステムや1モーターが停止しても飛行継続してくれる設計になってます。
信頼性は、日本メーカーと共同開発している部品もあり、モーターはなんと日本電産!羨まし~い(^^)
バッテリーはTDK株式会社と、日本の一流メーカーパーツを使用している所は
日本製高級ドローンですね。
価格は、メーカー小売価格で275万4千円と高いですが
操縦してみると、車の高級車に乗っているような安定感・安心感と同じような感覚を感じました。
お金があったら、YMR-08も良いですね。
昨今、他ブランドでは農薬散布用ドローンも100万円以下でネット販売されるなど、多様な機体が販売されていますが
このように、日本でもクオリティの高いMade in Japanドローンが販売されている事に、日本人としても誇りを感じます。
YMR-08は、産業用無人ヘリコプターを開発して30年以上のノウハウを持っている、ヤマハが設計・開発しているドローンですので、皆様も機会がありましたらチェックして見てください。
下記、農水省での検討会での資料がありましたので、添付します。
参考資料 :ヤマハ発動機株式会社 2018年8月7日資料より
■第1回 農業分野における小型無人航空機の利活用拡大に向けた検討会 補足資料
http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/attach/pdf/meeting180807-12.pdf
Q173:航空法一部改正する法律(2019.9.18付)
ここ最近、審査要領の改正・農水協ガイドライン廃止など、ドローンに関するルールが改正されていますが
ドローンに関する法律が一部施行・全面施行されると、2019年8月23日に告示されました。
法の施行は、2019年9月18日です。
更にドローン飛行に関する規制が厳しくなります。
今回の改正で、違反した場合は、既に50万円以下の罰金はありますが
飲酒時の飛行は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金と新設されてます。
これも、飛行禁止区域にドローンを飛ばしたり、航空機とのニヤミス、事故が毎年増加しているなど、ドローン運航ルールを守らない、守っているけど操縦技量不足、判断ミスなどで事故を起こしてしまった等
まだ、市場が成長する過程での経験不足などの課題が、このような法律を改正するまでに至ったのかも知れません。
ドローン操縦士や関係者は、今回の改正も熟知する事も必要ですが、自分だけではなく、まわりにも周知して行く必要があるかも知れません。
そうしていかなければ、更にルールが厳しくなっていくでしょう。
私のブログからも発信し、ドローン市場の成長につながればと思います。
因みに、私は法曹関連者でもないので、単に個人が調べ、メモとしてまとめているというレベルでご覧頂ければ幸いです。
関連する国交省のリンクと改正ポイント
国土交通省HP
最新情報 8月23日付け
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
今回の改正ポイント(無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン)
飛行の方法
飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には、以下のルー
ルを守ることが必要です。
① アルコール等を摂取した状態では飛行させないこと
② 飛行に必要な準備が整っていることを確認した後に飛行させること
③ 航空機や他の無人航空機と衝突しそうな場合には、地上に降下等させるこ
と
④ 不必要に騒音を発するなど他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させない
こと
⑤ 日中(日出から日没まで)に飛行させること
⑥ 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行
させること(目視外飛行の例:FPV(First Person’s View)、モニター
監視)
⑦ 第三者又は第三者の建物、第三者の車両などの物件との間に距離(30m)
を保って飛行させること
⑧ 祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させないこと
⑨ 爆発物など危険物を輸送しないこと
⑩ 無人航空機から物を投下しないこと
⑤~⑩のルールによらずに無人航空機を飛行させようとする場合には、安全面の措置をした上で、国土交通大臣の承認を受ける必要があります。
上記、以下資料より一部抜粋
・無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン
https://www.mlit.go.jp/common/001303818.pdf
・(ポスター)国土交通省からのお知らせ
https://www.mlit.go.jp/common/001303817.pdf
今回、①~④が新規で追加されています。
①飲酒時の飛行禁止
・アルコール、薬物は正常な飛行に影響を与えます
→因みに、航空法第132条2第1号の規定に反して、公共の場所においてドローンを飛行させた場合は、1年以下懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。
②飛行前確認
・ドローンの外部点検・作動点検を行う
→機体(プロペラ、フレーム等)に損傷や故障がない、付属品(バッテリー・プロペラ・カメラ等)が確実に取り付けられている、通信系・推進系・電源系等が正常に動作しているか確認します。
私は、必ず飛行前の機体等のチェック後、機体を起動させ、まず上空5mほどでホバリングをし、前後・左右・旋回など、機体が正常に稼働しているか、GPS環境はどうかなど、確認してから飛行させます。
・飛行させる空域・周囲の状況を確認する
→今回の法律にはFISS登録の件はありませんでしたが、周囲の状況を調べる手段の一つとして、FISS登録は有効活用できると思います。
・飛行下に第三者がいない事の確認
→補助者配置などで対応してますが
今後、自動航行・目視外飛行・1人操縦などの場合は、補助者配置できない場合は、ドローンにカメラを搭載し、周りの状況監視ができるなどの、手段も必要になってくるでしょう。
・気象情報を確認する
→風速・気温・降雨量の確認
現在は、天気予報での確認になるのかと思いますが
今後は機体開発技術も進歩している為、ドローンに気象状況を観測できるセンサーを搭載する事で、操縦士に伝達する方法もありますし
地上から上空の環境を知る事ができる機器など、機体性能の向上、周囲機種など、技術開発も進化している為、今後これらを使用する事で、気象情報収集ができるようになると思います。
③衝突予防
・周囲の状況に応じ、機体を地上に降下させる
→今まで、緊急回避の方法として航空機と同じように右回避など、統一は必要だと思っていましたが、今回、しっかりと「降下」させると記載されています。
機体の位置によっては、「降下」だけではなく、衝突する可能性のある方向と「別の方向」に飛行させることや、「空中停止」した方が良い場合もある為、その時の状況を冷静に判断する事が重要でしょう。
今後、機体にも自動制御装置で衝突回避機能等、開発も進められてます。手動での対応も必要ですが、自動で回避する時が来るのかも知れませんね。
等、他にも改正はありますが、今回の法改正は、数十枚に及ぶ資料です。全部読むのは時間を要しますが、第132条2と第134条3と第157条4は、チェックしても良いと思います。
■「航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律 新旧対照条文」
P8/9/11/19に記載
https://www.mlit.go.jp/common/001303812.pdf
■具体的な解釈は、「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」に記載されてます。
https://www.mlit.go.jp/common/001303820.pdf
■無人航空機(ドローン、ラジコン等)の飛行に関するQ&A
https://www.mlit.go.jp/common/001303819.pdf
また、一部の空港について航空法第132条1号の禁止空域が拡大されています。
下記、航空法施行規則は、文字ばかりで読みづらいですが添付します。
■ 国土交通省告示第460号
https://www.mlit.go.jp/common/001303816.pdf
因みに「安全な飛行のためのガイドライン」P3~P6の方で、わかりやすく記載されてます。
特に、空港における進入表面の見方が、更にわかりやすくなってます。
面でみるケースが多いのですが、側面で見る事で、飛行高度設定なども、見やすくなってます。
ご参考に
Q172:FISS登録方法「ドローン情報基盤システム(飛行情報共有機能)」
航空局では2019年年4月より無人機の飛行情報を関係者間で共有するシステム
(以下「FISS」=Flight information sharing system:飛行情報共有システム」)の運用を開始しました。
対象は、下記のドローンを飛行させる(1)(2)の航空局への飛行許可申請が対象となります。その他、警察庁小型無人機等飛行禁止法・航空機飛行エリア・地方公共団体が定める法令に基づく飛行禁止エリア・航空法に基づく飛行禁止空域も含まれます。
尚、2019年7月26日の国交省一部改正により、FISS登録は義務化となりましたが
航空法の許可承認申請が必要のない飛行の場合でも、FISS登録は任意となり
安全確保のためにも可能な限り入力をお願いしたいとの事。航空局ご利用案内FAQより
FISS登録方法に関しては、下記マニュアルがありますので、リンク貼ります。
付録でFAQもついてます。
■FISS:ドローン情報基盤システム(飛行情報共有機能)
ご利用案内【無人航空機運航者編】
https://www.fiss.mlit.go.jp/public/api/operationsManualPDF
■FISS:ドローン情報基盤システム(飛行情報共有機能)登録画面
https://www.fiss.mlit.go.jp/top
この背景も、ドローンの普及に伴い、航空機とドローンのニアミスとなる案件も増加し、安全確保の為には、事前に飛行情報を確認し、近接で飛行する場合等、衝突など起さないよう、安全対策を考えたシステムでもあるのでしょう。
登録に慣れるまでは大変ですが、事故を未然に防ぐことの軽減にはなる為、このシステムを有効活用して行きたいものです。
簡単ですが、FISS登録の流れを下記に記載します。
イメージを掴んで頂き、航空局のマニュアルを基本に登録してみて下さい。
今回の追加点
改正前 飛行申請→許可→飛行→事後報告(3ヵ月1回)
改正後 飛行申請→許可→FISS登録・確認→飛行→事後報告(3ヵ月1回)
■FISS登録
①専用HPにアクセス・IDを取得
https://www.fiss.mlit.go.jp/top
上記リンクをクリックし、まずアカウントの開設・個人・機体情報等を入力します
上記、「開設」をクリックし、メールアドレス・パスワードの登録をします。
認証確認メールが届きますので「メールアドレスの確認」をクリックし
再度、「ログイン」をクリック、メールアドレス・PWを入力し、ユーザー管理画面が表示されますので、氏名・住所・電話番号等を登録します。
②機体情報の登録
飛行させる機体情報を登録します。
既にDIPSに登録されている方は、中央の「機体連携」飛行許可申請との連携を行いますをクリックし、画面の指示に従って入力すると、自動的に登録されます。
DIPSに登録されていない方は、「機体情報」機体登録を行います。
DIPSに登録せず、今まで書類での飛行許可申請をされている方々は、これを機にDIPSに登録すると良いかも知れません。
※DIPS「ドローン情報基盤システム」
https://www.dips.mlit.go.jp/portal/
③飛行計画前の確認
自分が飛行させる場所で他のドローン運航者の飛行計画があるか確認をします。
「飛行計画参照」をクリック
下記、左上の「抽出期間」を入力するとFISS登録されている方々の情報が表示されます。これによって、近隣飛行しているドローンの飛行時間・緯度・経度・高度がわかります。
④飛行情報の登録
飛行に影響がない事を確認したら、自分の飛行情報を登録します。
左上の「飛行計画登録」をクリックします。
下記のページが出てきますので、飛行させる範囲を「+」プラスボタンをクリックし、飛行ルート設定を行います。
飛行する場所を設定し、高度・日時・操縦者・ルール等、必要事項を入力し
「登録」で完了です。
後は、入力した情報があっているかなど、「飛行計画登録」→「飛行計画情報」で確認する事ができます。
以上、ざっくりですが、登録の流れです。
しかし、FISS登録するには、NET環境がある場所で、飛行前にPC/タブレット/スマホなどで事前登録する必要がありますので、現場に行く前に設定しておいた方が良いでしょう。山岳地帯は殆どNET環境は皆無の状況ですよね。
FISS登録して思うのですが、初期設定から飛行ルート設定とシステムを理解、慣れるまで時間は要します。
同じルートを何度も飛行する場合は、履歴が残るので飛行計画をコピーすれば良いので、2回目のフライトからは簡易的にはなるのですが
PC/スマホ等、慣れていない方は、多分FISS登録は難しいと感じます。
何かしらのサポート体制を考えないと・・・
因みに、義務化になるのは、2019年7月26日以降に許可承認を受けたものから対象になる為、7月26日以前に包括申請(1年)を頂いてる方は、来年まで約1年間は任意になるそうです、それまでに習得できるようにしたいものです。
違法の場合は?と伺った所
「飛行許可等の取り消し、又は新たな条件が付される可能性があります」との事です。
今回の改正やFISSなど、わからない事は、下記へ電話すると教えて頂けます。
最近は、サポート体制を強化して頂けたのか、以前に比べると電話も直ぐ出てくれるようになりました。
お問い合わせ先
無人航空機ヘルプデスク
電話: 03-4588-6457
受付時間 : 平日 午前9時から午後5時まで
(土・日・祝・年末年始(12月29日から1月3日)を除く
Q171:(空中散布)国交省ドローン一部改正(2019年7月30日)
等々、「空中散布における無人航空機利用技術指導指針」(平成27年12月3日付け27消安第4545号消費・安全局長通知)が、2019年7月30日に廃止されました。
今まで、ドローンによる農薬散布は、農水省と農水協の両局長通知でだされていました指導指針をベースに安全運航してきましたが
市場も拡大し、自動航行・一人で操縦できるようにする為には、両局長通知内容では、一部改正が必要な箇所もあり、官民協議会も設立され議論が成された結果
今回、国交省からは新マニュアル、農水省からは新ガイドラインが提示され
農水省と農水協の指導指針が廃止されたという流れです。
私が携わるようになった3年前は、ドローンでの手動農薬散布が主流で、産業用無人ヘリのルールをベースに制作されたマルチローター(ドローン)の農水省と農水協の指導指針(ガイドライン)は、とても重要なマニュアルでもありました。
長い年月の経験の元、制作された指導指針でしたので、今でも、このルールは自分の糧とし、今回の改正内容に沿って運用管理して行きます。
以下、農業でドローンを取り扱う方に読んで頂きたい資料を添付致します。
① 国交省HPより
無人航空機飛行マニュアル(DID・夜間・目視外・30m・危険物・物件投下)
空中散布を目的とした申請について適用(令和元年7月30日)(資料)
http://www.mlit.go.jp/common/001301400.pdf
農用地等における無人航空機による空中からの農薬、肥料、種子又は融雪剤等の散布(空中散布)を目的とした航空局標準マニュアルです。
ポイント
・飛行前に、気象・機体の状況・飛行経路及び散布範囲について安全確認をする
・飛行前に、FISS(飛行情報共有システム))に情報を入力する P3-22行目
・物件との間に30mの距離を保てない飛行の体制
プロペラガードを装備する。装備できない場合は、第三者が飛行経路下及び
散布範囲に入らないよう監視及び注意喚起する補助者を必ず配置する P6-1行目
・目視外飛行は、目視内農地と接続する農地の範囲内のみで実施 P6-14行目
・補助者を配置せず空中散布を行う場合の体制(1人で操縦の場合)
飛行高度は空中散布の対象物上4m以下
ジオフェンス・フェルセーフ機能の設定をする P6-25行目
製造者等が保証した「位置誤差」「落下距離」を合算して、立入管理区画を設定する
P7-1行目
→製造者等が示していない場合は、飛行マニュアル別添参照
<自動操縦の場合>
メーカーが位置誤差を保証する場合:メーカー保証値(数㎝~)
メーカーが位置誤差を保証しない場合:10m
<手動操縦の場合>
操縦者が目視で確実に機体の位置を把握できれば、位置誤差を考慮する必要はなし
等
今まで農水協のガイドラインでは1人操縦は認められてませんでしたが、今回の改正で条件(プロペラガード付き・高度4m以下・ジオフェンス・フェルセーフ・立入管理区画の設定)はありますので、1人操縦できるようになってます。
② 農林水産省HP
無人航空機による情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/120507_heri_mujin.html
無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン(資料)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/attach/pdf/120507_heri_mujin-115.pdf
上記、P2-19行目に記載されている、機体等メーカーによる散布方法が設定されておらず、取扱説明書等に記載がない場合は、当面の間
「マルチローター式小型無人機における農薬散布の暫定運航基準取りまとめ」
(平成28年3月8日マルチローター式小型無人機の暫定運航基準案策定検討会)を使用
(資料)
http://www.j3a.or.jp/business/others/standard.pdf
今回の改正で、メーカー等の関係機関の取説見直しには、時間も必要な為
“”当面の間の暫定運航基準”もあるんですね。
③ 農林水産航空協会HP
関連情報
http://www.j3a.or.jp/business/others.html
無人航空機を利用した空中散布に関する制度変更への対応について(令和元年7月1日)
(資料)
http://www.j3a.or.jp/oshirase_20190701.pdf
上記、農水協からは、マルチローターについては、農林水産省の登録認定等機関の業務としてではなく、自主事業として対応する旨、記載されています。
なお、Q170でも紹介させて頂いた、7月26日改正されたFISS(飛行情報共有システム)は、どうするか7月1日付の為、記載はされていません。
個人的には、FISSの飛行場所を農水協で代理登録するのは難しいと思います。
きっと、請負防除者・整備事業所・販売代理店・メーカー等が、農家さんをフォローしていかないと難しいのかも知れません。
以下、パブリックコメントの回答も出ています。
「ドローンの農業利用の拡大に向けた規制改革に係る関係通知の整備に関する意見・情報の募集」の結果について
パブリックコメント:結果公示案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
これから飛行許可申請を出す方々は、今回の改正の対象者になる為、運航ルールを守って、業務遂行しましょう。
※追伸
ドローンの普及と共に、事故も増加しているようです。
以下、国交省から注意喚起文書が出ています。
国交省HP
空中散布における無人航空機の安全対策について(注意喚起)
国空航第973号 令和元年8月9日
https://www.mlit.go.jp/common/001302760.pdf
農業での事故は、圃場周りには電柱も多く、電線などの接触事故や
電話線など、遠目では気づかない細い線もある為、十分注意して飛行しましょう。