ドローン操縦士になるための100の質問(産業編)

これからドローン操縦士を目指すドローンジョこと(ドローン女子)HIROMIの日記です。

Q93:農薬散布ドローンスクールへ行って来ました!

先日、農薬散布ドローンスクールが行われるという事で手伝いに行って来ました。

 

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参加者は、農林水産業に関する方々ばかりで、今後のドローンを活用し、農家さんの業務負荷を軽減するため勉強も含め、今後インストラクターになる方など、参加されていました。

 

授業の内容は、座学+実技と3日間コースでした。

殆どが、実技で中々厳しい内容でした。

 

講師の方は、ラジヘリで農薬散布の経験者でもあり、マルチローターの育成指導員で、操縦から適切な指導など、流石と思わせる事ばかりでした。

 

そして、手伝いして分かったのが、これは絶対、スクール受講は必要だという事です。

思った以上に、操縦だけでなく、散布のタイミングや高度によって、液剤の流れも代わるため、高度維持などの技術も必要になります。

 

■スクール内容

1日 学科

  航空法・農薬取締法・安全運航等

2日 学科+実技

  点検・飛行(着陸・水平等)

3日 実技+試験

  標準散布パターン(手動)・遠方飛行(50m)

  枕地散布・緊急対応等

  試験・・厳しかったですよ!これぞ認定試験という感じです!

 

■スクール場所

スカイテックやクロノスなど

物件投下練習の為、事前に認可のとれた場所でしか飛行訓練は出来ません。練習は水ですが、リアルに散布訓練が出来ます。

 

■参加する為には

最低1カ月前には申し込みが必要

スクールと言っても、物件投下になる為、スクールから国交省へ参加者の氏名など事前申請が必要だそうです。

 

よって、勿論、急遽来た方に少し操縦してみる?っていう訳には行かないという事です。

 

■飛行訓練内容(一部)

散布剤(水で代用)

枕地から散布、20m直線走行、4m幅を置いて、20m直線走行と5往復します。

 

起動方法

散布剤のチューブの空気抜きをします。

メーカーによって方法が違います。

この日は、エンルート機・丸山機の2機でした。簡単な方はエンルート機でした。

 

タンクの取り外し

中に散布剤を入れるのですが、タンクの取り外しが出来るのは、すごく良かったです。機体事態重いのに、それを移動して作業するとなると・・・

 

操作方法

FUTABAの送信機(プロポ)使用で、機体は産業用ドローンの為、操縦はDJIより難しそうでした。

 

■感じた事

産業用として使用する為には、機体の丈夫さ、性能の高さ、運用力など、実際使ってみると、自分にあった機体はどれかという事が分かります。実機確認は重要ですね。

 

それと、操縦するまで色々な手順を踏まないと行けませんが、今まで重たいタンクを背負っての散布や資金面、手軽さなどを考えたら、ドローンはニーズのあるロボットだと、改めて感じさせられました。

 

あと、認定資格取得後も、実際の圃場での飛行訓練もあるそうです。

徹底してますね(^^)

 

ドローンの世界は、ホビー用・レース用・産業用と様々、奥深さにのめり込みそうです。。

 

 

Q92:農薬散布機を操縦する方法

農薬散布機を操縦する為には、下記の流れが必要です。

 

一般社団法人)農林水産航空協会の認定資格を取得

※約3日~5日コース。金額 約15~18万円

  ↓

②農薬散布機を購入

※1機 120万円~250万円

  ↓

③農薬散布の許可申請

国交省へ危険物・物件投下申請が必要です。

各農家さんがその都度申請していたら、春~秋にかけ、とんでもない申請量になる為、農水協がまとめて国交省へ申請するそうです。

※流れ

農家さん又は散布する業者⇒販売代理店⇒農水協⇒国交省

  ↓

④農薬散布の作業開始

国交省への申請は、現在約1カ月経つため、早めの申請と年間包括申請がベストです。

 

以上、ここまでが私が知りえた情報です。

あとは、具体的に知りたい方は

下記、産業用マルチローター指定教習指定一覧の各教習施設にご確認下さい。

もっと詳しい情報が入ると思います。

 

どこで資格取得出来るの?

  ↓

■教習施設一覧(農水協HPより)

http://www.j3a.or.jp/shoukai/newsH2712.html

 

因みに、農水協はドローンをマルチローターと言うそうです。

 

 

Q91:農林水産航空協会って何?

農薬散布機となると、必ず農水協の話が出て来ます。

農水協って何?

色々、情報収集した内容をお伝え致します。

 

まず、ドローンで農薬散布の仕事に携わる方(メーカー・販売・操縦士)は、必ずこの協会とのつながりが、重要になって来るそうです。

 

何故なら、ドローン農薬散布機は農水協に登録していないと国内での使用は出来ない、認定教習施設が必要、操縦者は認定資格が必要、防除計画許可申請など・・

 

今までは、農薬散布はラジヘリが主流でしたので、ヤマハやヤンマーなどから購入した際、詳しい説明はあるのですが、外部から新規でドローンビジネスに参入する方は、農薬散布ビジネスの仕組みを理解していないと、機体は開発した、さぁー販売しようと思っても、日本では中々先に進める事は出来ないようです。

 

その為か、某海外メーカーの農薬散布機も機体はあるが、日本での販売が遅れているのも、この農水協の関係が大きいようです。

  

実際、日本ではどのような手続きが必要なのか、整理しました。

 

■農水協とは

一般社団法人)農林水産航空協会

http://www.j3a.or.jp/

 

■主な業務

・農薬散布機の機体認定

農薬は、いわゆる危険物です。空中から危険物をバラまく訳ですから、散布ノズルの精度や飛行の安定化など、液漏れが無いかなのどチェックをします。機体性能認定を受けた機体がやっと販売できる訳です。

 

・整備施設の確認

農薬をまく機体とし、定期的なメンテナンスや操縦士の育成が必要です。その体制が販売店で整っているか。販売して終わりでなく、その後のアフターケアーが整っているかなどの確認もします。

 

・操縦士のインストラクター認定

安全運航が出来る操縦士の育成が必要です。ドローンを操縦出来ても、農業用は飛行+散布技術が必要です。スイッチ一つ入れるタイミングで散布場所がズレたり、人に掛ったら大変な事になってしまいます。

法律・農薬の種類・危険性・散布技術など、指導師の元での教育が必要です。

自動航行もありますが、GPSの精度や緊急時は手動も必須になります。

 

その他、農林水産業における航空機等の利用の安全性・研究・開発・国交省への代行申請なども行っています。

 

なぜ、これらが必要かというと農薬=危険物の投下にあたる為、やはりこれ位の事はしないと行けないという事はわかります。

 

その危険性の事例です。

 

■危険性

農薬=薬物

人体・人物に影響を与える

 

・散歩中のワンちゃんが、ペロリとなめたら・・大変!

・隣の畑の野菜(レタスなど)、洗浄してそのまま食べる野菜は、人の口に直接入るので、害を及ぼす為、出荷が出来なくなります。

・自動車にかけてしまったら、農薬は乾燥すると薬剤が濃縮し、塗料に影響を与えます。

 

農薬に関する知識も必要になります。

■使用できる農薬

ドローンで使用する農薬は決まっているそうです。

 

農林水産省(農薬コーナー)

http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/index.html

 

■対象品種

水稲・麦類・大豆・玉ねぎ・ばれいしょ・トウモロコシなど

 

その他、葉野菜・ブドウ等は現在は無いそうです。

農薬会社も許可が下りるまで、時間とお金が相当かかるそうです。

 

■農薬は購入できるの?

登録を受けた農家の方や業者など、登録を受けた方しか購入は出来ません。

 

余は、危険な薬剤を取り扱うのですから、これこそ操縦技術が必要で、しっかりとた知識がある人でないと、行けない訳であるのです。

 

よって、ドローン農薬散布を行う方は、必ず認定校で資格取得する必要があります。

下記、詳しく掲載されています。

 

農林水産省 空中散布等における無人航空機利用技術指導指針

http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/t0000926.html#honbun

 

ドローンの普及によって、知らない方々が参入するようになってきている為、農水協もきっと問い合わせなどで大変だろうと、想像が付きます。

 

次は、実際に運用する方為のプロセスをお伝えします。

 

PS:皆様からの声が農水省に届いたのか?2017年7月1日付けで、空中散布の役割で農水協が無人航空機の性能確認、教育等を実施すると記載されていましたが、農水協以外にも、登録認定等機関であれば、その業務を行うことが出来るようになるそうですよ。

 

 

Q90:農薬散布機(日本サーキット・テラドローン・ナイルワークス)

次世代農業展で展示してありましたドローン農薬散布機のご紹介です。

後半3社

尚、下記の情報は2016年10月14日時点の情報です。

 

■日本サーキット

http://www.circuit.co.jp/

機種名  JH950

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 *機体仕様

サイズ 950×950×H580(折り畳みのサイズ)

価格  約150~180万円

バッテリー ?万円/本

タンク着脱 可

積載  液剤5L ・ 粒剤5kg

1回飛行時間 約10分

農水協   これから申請するとか・・

認定施設校 未定

 

*機体は折り畳み式の為、持ち運びもしやすく、圃場が広くない方々にはお勧めだと思います。

 

■テラドローン

http://www.terra-drone.co.jp/agriculture/

機体名 Terra1シリーズ

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 *機体仕様

サイズ 1860×750×H855

価格  約300~350万円

タンク着脱 可

積載  液剤14L

1回飛行時間 約30分1.5ha

農水協 11月認定取得予定

認定施設校 未定

 

※大型機体の為、広い圃場向け。

 

■ナイルワークス

 https://www.nileworks.co.jp/

*機体仕様

サイズ 1900×1400×H700

価格  レンタル 年間100万円/3年契約

タンク着脱 可

積載  液剤10L

1回飛行時間 約30分1.5ha

農水協 ?

認定施設校 ?

 

*こちら運用は自動航行のみ。機体は一番大きかったです。2人以上でないと移動は難しそうでした。

 

Q88~Q90と7社のドローン農薬散布機をご紹介して来ました。

 

それぞれの強み・弱みがある為、実際にこれが良いですよとは、このブログではお伝えしませんが、運用される方の飛行させる圃場・作業者・運搬方法など、適した機材を選ぶ事がお勧めだと思います。

 

出来れば実際に操縦してみて、操縦のし易さ・散布の液漏れチェック・洗浄方法・運搬方法など、実践的な視点で確認された方が更に確実な機種を選べる思います。

 

尚、価格などの詳細は各社のHPを添付しておりますので、そちらに直接ご確認して下さい。

 

あと、農薬散布機の話を伺う度に「農水協」の話が出て来ます。

一体「農水協」って何? 

どこかの回でご紹介しますね。

 

 

Q89:農薬散布機(エンルートM's・東光鉄工・TEAD)

次世代農業展で展示してありましたドローン農薬散布機のご紹介です。

前半3社

尚、下記の情報は2016年10月14日時点の情報です。

 

■エンルートM's

https://enroutems.co.jp/ac940d.html

機種名  AC940-D

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※こちらの機体は日本の中でも販売台数が多く、ドローン農薬散布機では定番機種だそうです。

 

*機体仕様

サイズ 1000×1000×H450

価格  約200万円

バッテリー 5万円/138W×2本

タンク着脱 可

積載  液剤5L ・ 粒剤5kg

1回飛行時間 約10分

農水協 認定済

認定施設校 約13校(申請中含む)

 

*機体・販売・教育など、全体的に体制が整っている為、直ぐ購入を検討されている方にはお勧めだと思います。

 

■東洋鉄工

http://www.toko-akita.co.jp/uav/uav_top.html

機体名 TSV-AH1

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※4L/8Lの2種類あります

*機体仕様

価格  4L約120万円・8L約180万円

バッテリー 2.5万円/本

タンク着脱 可

積載  液剤4L&5L ・ 粒剤3kg&6kg

1回飛行時間 4L約7分0.5ha / 8L約12分1ha

農水協 認定済

認定施設校 秋田1校(年末千葉1校開校予定)

 

*価格的には一番安かったです。

 

■TEAD(ヨコヤマCo)

http://www.tead.co.jp/professionals/for-farming/

機体名 MulsaDAX04

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■機体仕様

サイズ 1650×950×H692

価格  約255万円

バッテリー 5万円/本 16000mAh

タンク着脱 可

積載  液剤のみ 10L

1回飛行時間 約10~14分/1ha

農水協 認定済

認定施設校 約27校(申請中含む)

 

*代理店は全国展開と販売網は大きいようです。

 

Q88:DJI AGRASって何?

次世代農業展でのDJI AGRAS MG-1説明会と展示会のご報告です。

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DJIから農薬散布機AGRASが発表されました。

中国では既に2000台以上販売実績のある商品だそうです。

中国では散布チーム・サポート・教習施設設立など、水稲・小麦・ジャガイモを対象に散布などで活躍しているそうです。

 

内容

■DJI社 AGRAS MG-1

http://www.dji.com/jp/mg-1

 

■機体仕様 

8発機・4本のノズル・高性能の噴射システム

積載容量10L・1回=1ha散布可能・約12分

散布幅=4m・1分=800ml農薬散布調整可能

防水・防塵・埃フィルター付き

下方レーダーが付いている為、植物との距離確保

アシストモード 機体の進行方向をロック出来る

マイクロ波レーダーで自動で高度調整

冷却システム 3重の防塵フィルター為、モーター寿命が3倍

水洗い可・折り畳み式

操作性に優れた送信機

⇒プロポはPhantomと同じ形態で、スマホサイズの画面にバッテリー残量など確認が出来る

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以上のように機体の性能は良く「農水協」の認定も取得済だそうです。

 

その後、展示会場へ行き、実機を始めて拝見させて頂きました。

 

噴射などの精度は確認できなかった為、見た目だけの判断ですが、いくつか気になる点もありました。

・タンクの取り外しが出来ない

⇒液体の詰め替えや洗浄は機体についた状態で行う

・折り畳みの為、小さく見えましたが、広げて見ると大きく、車の荷台に乗るかやや疑問

・粒剤散布装置が取り付け出来ない

⇒使用用途が液体のみ

・バッテリー1本 約10万円以内 等

 

メリット・デメリットもあるようなので、他のメーカーとも比較して購入する事がお奨めだと思いました。

 

因みに、価格はまだ正式発表されていませんが約180万円?位という話も一部から伺っています。

 

あと、もう販売しているのか分かりませんが、農薬散布には機体を購入しただけでは、散布は出来ないそうです。

 

理由としては、薬剤を散布する為、認定を受けた教習所で講習を受講し、卒業試験に合格し、農水協のオペレータの資格取得が必要だそうです。

 

確かにそうですよね。

農薬と言っても危険物には変わりないので、農薬の取扱い方法からドローンの運用方法など学ばないと、万が一何かあった時は大変ですからね。

 

では、次回は他社比較です。

 

Q87:農業用ドローンへの期待と要望

先月、幕張メッセで行われました次世代農業展へ行って来ました。

今後、活躍が期待されている農業でのドローン活用の話や各社の機体を拝見させて頂きましたので、数回に渡りご紹介させて頂きます。

 

今回のテーマ「農業用ドローンへの期待と要望」

 

某農薬関連の会社の方からのお話です。

 

①農業の現状の課題

・高齢化

農業就業の平均年齢

55~60代 北海道

60~65代 青森・和歌山・高知・福岡・佐賀・長崎・熊本・宮崎・沖縄

     大阪・神奈川・東京

65~70代 福島

70代前後 島根・岡山・広島・山口

 

毎年、高齢化が進む中、比較的若手が多いのは北海道だそうです。若手は機械など新しい事に興味が高く、機械・ロボットへの注目は高いそうです。

 

・効率的経営

土地20haが1つの壁だそうです。土地を有効活用出来なければ利益率も向上出来ない。例えば、農地集約型にし、法人経営化にし、20haを200haから300haに広げ、機械化にする事で生産も上がり良いのですが、現在は若手が少なく、機械を動かせる人が必要であったりと、育成にも力を入れて行かなければならないでそうです。

 

・温暖化や異常気象

ここ最近の異常気象頻発などによって、土地を拡大しても、全て流されてしまうなどの課題もあるそうです。

 

②ドローンへの散布期待

大面積・中山間など多数の圃場で、効率的・経済的に活躍が出来るのではないかと、今、ドローンへの注目が高まって来ているそうです。

今も、無人ヘリなど活躍していますが、狭い圃場などでは機体が大きすぎ、重い、音がうるさいなど、人での農薬散布などしているそうですが、ドローンは狭い圃場でも活躍ができ、軽労働になると期待されているそうです。

 

③ドローンの課題

農薬散布できる薬剤は、今は少ないそうです。

使用する薬剤は高濃度・少水量散布であり、使用できる範囲は米・麦などが中心になり、野菜や果実は農薬が濃すぎて使用出来ないなど、まだ課題は多いそうです。

 

④ドローン農薬散布機のポジショニング

ドローン 労働力低い・操縦易しい・労働力低い

     防除速度早い・価格安い

無人ヘリ 労働力低い・操縦難しい・労働力低い

     防除速度早い・価格高い

広い圃場などの場合は、無人ヘリの方が良いなどメリットもありますが、ドローンの操縦易・価格安など、魅力はありそうです。

 

⑤事故

農業で機械を使用した事故では、トラクターによる事故が多く、60歳以上の方が多いそうです。特に80歳以上が80%も占めるそうです。

 

⑥農薬メーカー

防除効果は重要ですが、人・物・環境に安全な物を作るよう、研究を積み重ねているそうです。

 

以上

 

お話を伺い、ドローンでの農薬散布の活用は農作業の軽減にもつながり、高齢者の負荷を和らげる事も出来るロボットして活用の価値はあるのいう事を感じました。