Q107:ディザスター シティーって何?
Q106でもご紹介させて頂きました福島ロボットテストフィールドですが、世界にもいくつか参考になる施設がありますのでご紹介させて頂きます。
自然災害・大規模地震・事故など、いつ来るか分からない事態に備え、消防・自治体・関連企業など、研究・開発・調査・技術取得など出来る様、都市型操作救助US&R(Strutual Collapse Urban Search and Rescue)として、整備・開発が進んでいます。
日本では、今後US&R対応策として、今回の福島ロボットテストフィールドも重要な位置を占める事になると言われています。
今回は、世界でも有名なDisester City (ディザスターシティー)とGuardian Centers(ガーディアンセンター)をご紹介させて頂きます。
■ディザスター シティー(Disaster CityのHP)
https://teex.org/Pages/about-us/disaster-city.aspx
■ガーディアン センター (Guardian Centers)
下記、関連調査報告書です。
■ロボット研究・実証拠点整備等に係る調査報告書
(一般財団法人 製造科学技術センター・経済産業省製造産業局産業機械課)
何故、このような記事も掲載するかと言いますと
ドローン操縦士になる為には、飛行が出来るだけではなく、災害対策・インフラなど、様々な角度でドローンの活用が求められています。
それらを実践する為には、その場の環境を理解し操縦しなくては事故が起こってしまいます。
例えば、橋梁点検など、コンクリート側面の風速・対流・橋梁下のGPS受信不能など、様々な条件下の中で操縦が必要となります。
いざ実践しようとしても、やはり事前に訓練をする事でより安心安全に精度の高い点検調査が行えます。
この福島テストフィールドはそれらの技術取得の訓練も行うことができます。
今後、経済産業の活性化・課題解決の為にもドローン操縦士の育成強化にも福島ロボットテストフィールドも活用できる事になるでしょう。
Q106:福島ロボットテストフィールド
平成30年度に向け、福島県が整備する「福島ロボットテストフィールド」の開発現場の視察に行って来ました。
こちらの場所は、震災・原発事故によって失われた浜通りの産業・雇用を回復する為(福島イノベーションコースト構想より)
1)廃炉やロボット技術に関連する研究開発
2)エネルギー関連産業の集積
3)先端技術を活用した農林水産業の再生
4)未来を担う人材の育成強化
これらを通じて新たな産業・雇用を創出し、住民が安心して帰還し、働けるよう、浜通りの再生に取り組んで行こうと、国の財政支援のもとで「ロボットテストフィールド」及び「国際産学官庁共同利用施設(ロボット)」の整備が進行しています。
建設場所は鉄塔の左、西側に向け、約 1327m×464mと南相馬市復興工業団地予定地に建設中です。
広い敷地で南相馬市中心街より車で10分と生活インフラが揃う市街地からも近接で、海外の同規模の試験施設(Q107で紹介)に比べても良好な立地でした。
主な施設は
①無人航空機エリア
緩衝ネット付飛行場・落下措置、衝突回避、非常時着陸、物件落下などの特殊飛行場など
②インフラ点検・災害対応エリア
トンネル、橋梁、道路、市街地など、亀裂、陥没、瓦礫、土砂崩落道路など多様な障害を設置
③水中水上ロボットエリア
水没市街地、屋外大型水槽、屋内水流付大深度水槽、濁度調整水槽など
④開発基盤エリア
基礎的な計測装置・耐環境試験装置・電波暗室・防爆試験など特殊計測装置など
余は、ロボットを開発する段階で事前にこちらのロボットテストフィールドを使用し、様々な実験検証をする事で、更に精度の高い研究開発が出来る施設が出来るという事です。
ドローンであれば、耐風試験なども開発基盤エリア内で試験も出来ますし、長距離飛行テストも可能なように、約13kmの飛行コースも南相馬市~浪江町までつなぐ飛行航路も設置してあります。
今後ロボットなど産業機の開発基盤を検討されている方々は、南相馬市に事務所を構える事で生産性も良くなりますし、滞在型の研究室・オフィス・TV会議室・宿泊施設・整備格納庫も賃貸で借りる事が出来る施設も検討されているという事ですので、こちらを拠点にするのも良いと思います。
詳細は下記記載されています。
■福島県ロボットテストフィールド
尚、平成30年に向け開発段階中ではありますが、一部試験が出来る場所も既にありますので、企業や大学など研究試験を行いたい方は、直接、福島県へ問い合わせをしても良いそうです。
南相馬市へ訪れた際も、人口も戻っており活性化の勢いも感じました。
今後、このテストフィールドは世界からも注目される立派な施設になると思います。
問合せ先
■福島県ロボット産業推進室
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32021f/
Q105:Marvic Proって何?
先日、DJI社から販売されたMarvicを飛ばして来ました。
話では伺っていたのですが、本当に操縦も簡単で映像も鮮明な為、気軽に空撮を楽しみたい方にはお勧めだと思います。
画質などは、やはりPhantom4の方がいいと思いますが、プライベートで動画や静止画を楽しみにたい方には、十分な機能を持っているので満足できると思います。
持ち運びもコンパクトに収納でき、旅行など気軽に持ち運びができるので、私も一機持ってても良いかなって思います。
価格は、129,800円~(税込)
購入はDJI社代理店などNETで購入出来ます。
人気の為か入荷待ちの所もあります。
下記、DJI社のMarvic 紹介動画です。
その他、安全機能(衝突回避システム・リターントゥーホーム機能等)も付いている為、初心者にも安心です。
企業やスクールなど、ドローン飛行練習などにも使えると思います。
ただ、機体重量が約700gの為、風が強い日は機体が軽いので飛ばされ易いので、飛行の際の天候は注意された方が良いと思います。
最大飛行可能時間 27分
最大30fpsの4K動画・1200万画像の静止画 など
詳細・安全運航などは下記のPDFをご参照下さい。
■仕様書(DJI ユーザーマニュアル)
Marvicの持つ潜在機能を調べれば調べる程、この機体の凄さが見えてくるかも知れませんね。
Q104:気象予報
ドローンの弱点は雨と風です。
全天候型ドローンも一部開発されていますが、基本多くのドローンは雨や強風では殆どが作業中止・延期となります。
先日も数社で実証実験する為、週間天気予報をみていたのですが、どうも雨予想(><)
降雨時間によっては、作業スケジュールを再調整し、降る前に検証を終わらせられるかなども検討したのですが最終判断は私に任すと言われ(*0*)
え~マジですか~って一気に責任重く(--;)
社内だけなら、あれ~雨降らなかったですね~って(^^;)
笑って流せるのですが、社外の方にはそうは行きません。
前日判断でも良いですよって言われたのですが、出来れば1日でも早い方がホテルのキャンセルや他の仕事を入れるなど出来るじゃないですか。。。
と悩んでいたら・・・・
ドローン操縦士の先輩から、この気象予報情報を見ると良いよと神の声が!
ラジコン仲間では知られているそうなのですが、始めて見て感動しました。
何と広域であれば264時間(11日先)の気象予報が見れるんです♪
詳細は39時間前となりますが、どちらも雨量・雲量・気温・風速など、詳細に掲載されています。
それに、この何がスゴイかっていうと、スーパーコンピューター使っているんですよ。
ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、その気象予報のサイトご紹介致します。
■GPV気象予報
GPVとは気象庁や米国海洋大気局等の気象予測モデルをスーパーコンピュータで計算した予測値を指します。
その後も大活躍です。
先輩有難うございま~す♪
Q103:NEDOって何?
Q101~102でも出て来ましたNEDOについてご説明したいと思います。
■NEDO
NEDO=国際研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構
(New Energy and Industrial Technology Development Organization)
1980年10月1日、日本政府下の主体となる新エネルギー開発機構として設立されました。1988年5月に施行された、”産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律”に基づき、NEDOの義務は産業技術に関する研究と開発にまで拡張され、その呼称は1988年10月に現在のものに変更されました。2003年、NEDOは独立行政法人として再設立され、2015年には国立研究開発法人に名称が変更されました。
NEDOは、非営利の政府機関であり、新エネルギー(太陽光、風力、バイオ、地熱、その他全て)、燃料電池、水素技術、スマートグリッド、及びエネルギー関連技術といった、石油に代わる新しい研究と開発の促進に貢献しています。
以上のように目的は「産業技術に関する研究と開発」と、各分野で活躍されている企業が、目的を達成するためにそれぞれの強みを活かした分野を他社と共同で研究開発するという、日本を代表するコラボレーション的な産業技術開発で、先鋭のメンバーが集められ定期的にMTGを行い、現場検証し実用化につなげるという取組を行っています。
その中で、無人航空機(ドローン)は、空中活動ができ、今まで人が侵入できない場所や有人飛行で危険性が高い場所(活火山の山頂上空など)での作業をドローンで行うことが出来るのではと、今注目を浴びています。
企業同士がそれぞれの強みを活かし研究開発し、最終的に実用化できる技術を開発すると日本を代表する研究機関でもあるんですね。
現状、あらたな研究開発も行われてますので数年後は更に精度の高いドローンが生まれているのでしょう。
平成28年度は現在進行中ですが、平成27年度の取組をまとめた資料が経産省から報告されていますので参考にご覧ください。
[資料]NEDOプロジェクトの実施状況について
平成27.3.19 経済産業省
Q102:雲仙普賢岳 現場検証(後半)
Q101の続きです。
次はドローンに吊り下げたサンプリングデバイスを遠隔地から土石採取を行う検証です。
機体は、エンルートZionCH940を使用。
デバイスを目的地まで運ぶという任務です。
全天候型ヘキサコプター(雨天使用可)
最大ペイロード6kgとハイパワーモーターを採用している為
物流機能などにも適した機体です。
手前にある4つの装置は、土砂サンプリングデバイスや水の浸透率研究の為の水の投下装置など計測する為の機器です。
回収された土砂は粒子を分析し、土石流の災害を予測可能にする事が出来ます。
自然災害を止める事は出来ませんが、早期発見する事で被害を軽減する事ができると現場検証を行っています。
右側のUGB(Unmanned Ground Vehicle 無人地上車両) は、ドローンで人が侵入出来ない立入制限区域内へ輸送され、着陸した地点から無線で移動・活動し、与えられた任務を遂行するという機械です。
まるで、火星で活動しているような光景でした。
デバイスの開発は東北大学様とフィールドプロ㈱様が担当されました。
内容
③遠隔土石サンプリング技術の研究開発
④遠隔含水率・透水性の計測技術の研究開発
流れ
・カメラを取り付けたドローンで立入制限区域内の状況を把握し
デバイスを運び込む場所を決定する。
↓
・立入制限区域外の安全な地点から、デバイスをドローンに吊り下げ、目的地まで運ぶ
↓
・土石採取が終了した時間にドローンを再飛行させ、デバイスの回収を行い離陸地点に戻る
↓
・採取サンプルを分析し、土石流予測に使用する
わかりますか~
ドローンでUGVを運んでいる写真です。
安定した状態で安全に運搬されていました。
感動しました~(*0*)~
折り返し時は、急に吹きおろしの風でドローンが下に押される光景もありましたが、冷静にドローン操縦士はその時点で手動に切り替え、安全な高度に戻し手動で着陸させました。
ドローン操縦士は改めて、冷静な判断と操縦技術以外にも関連する装置・自然環境などの知識・予測も必要。
そして、ドローンを飛行させる場所は人が侵入出来ないような場所も多い為、環境は決して良いとは言えません。
よって、健康・体力が必要だという事も改めて認識させられました。
私は、長崎空港への飛行開始終了連絡や白いバンを走らせながらドローン・機材運搬業務など、操縦以外にもやる事が沢山ありお手伝いさせて頂きました(^^)
尚、これらの取組はNEDOよりニュースリリースされています。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100677.html
ご参考に。
Q101:雲仙普賢岳 現場検証(前半)
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
今年から「ドローン操縦士になるための100の質問(産業編)」としてスタート致します。
今年の第一弾は、昨年九州の雲仙普賢岳でドローンによる現場検証に参加して来ましたのでご報告させて頂きます。
内容「土石流災害予測シュミレーション実証実験」です。
①ドローンによる地形データの収集・溶岩ドーム調査
②衛星回線によるドローン映像を防災室に配信
③遠隔土石サンプリング技術の研究開発
④遠隔含水率・透水性の計測技術の研究開発
現在、日本での活火山は約110と言われています。
いつ起こり得る土石流災害を事前に予測可能する事で人災をゼロにする。国土交通省始め様々な研究が行われていますが
今回、国際航業㈱・東北大学・㈱エンルートがNEDOの委託を受け、火山地域の災害調査を行うロボット技術開発を実用化する事を目的に行って来ました。
場所は雲仙普賢岳。
今でも鮮明に記憶に残っていますが25年前に起きました雲仙普賢岳の土石流が発生した場所での検証でした。
現在は噴火活動は終息されていますが、雲仙復興事務所でも監視しており、安全対策含め事前説明会を受けての検証となりました。
まず、①ドローンによる三次元地形データの収集です。
飛行場所は頂上から約3km離れた安全地区場所からの着陸となります。
しかし、皆ヘルメットをかぶり、車も万が一何かあった場合は直ぐ避難出来る様、車の停車の向きは避難する進行方向側に停車するなど、安全危機管理も徹底された中での検証でした。
右奥が雲仙普賢岳です。
ドローン操縦士達は、機体を準備しながら、自動航行のルート確認・画像伝送装置・無線状態の確認・アンテナ設置など万全対策で準備を進めます。
フライトは多様なコマンドをプログラムする事が出来るMissionPlannerを使用。
この日は天候も良く、頂上付近も目視で良くみえました。
頂上には溶岩ドームもあり、ドローンで頂上付近まで飛行させ、現在の状態を画像で取得してくるという任務もありました。
ドローンはエンルートのZionQC730を使用。
この機体は最大飛行時間40分。最大飛行距離は30km。最高速度は72km/h。高解像度のカメラを搭載し、リチウムポリマー電池を搭載。
画像データを取得します。
その後、収集した画像データの三次元モデル化は国際航業様が担当されます。
飛行高度・作業時間によって、三次元地形モデルのソフトウエアの作業時間は30分~90分と変わりますが、災害対応には早急なデータ収集を必要とする為、いくつかのパターンを検証し実践的な運用を想定したデータを集め、今後の活用に期待できる検証が出来ました。
②衛星回線によるドローン映像を防災室に配信
これらの検証実験の模様は、雲仙復興事務所(防災室)でも放送され
普賢岳山頂の溶岩ドームや山腹のガリーの状態をドローンの映像を衛星通信装置(Ku-SATⅡ)を使用しリアルタイムに情報配信できた事も確認できました。
では、次回は③④土石サンプリングデバイス装置運搬に関する報告です。